
ファイバー素材を探しているとよく目にする「3Dエアー」。名前や見た目が似ているせいか、ブレスエアー®から進化した新素材だと思っている方も少なくありません。ですが、この二つは成り立ちも、品質の考え方も、実はかなり違います。
「買ってすぐにヘタってしまった」と半年後に気づいても、マットレスはそう何度も買い替えられるものではありません。ここでは両者がどう違うのか、そして選ぶときに何を見ればいいのかを、30年以上ブレスエアー®に向き合う専門店の立場から分かりやすく解説します。
「3Dエアー」は進化素材ではなく、網状素材の「総称」
まず押さえておきたいのが、「3Dエアー」は特定の商品名ではない、ということです。
わかりやすいのがスマートフォンとiPhoneの関係です。iPhoneはApple社がつくる特定製品のブランド名ですが、スマートフォンはタッチ画面の携帯電話をまとめて指す総称(一般的な呼び名)ですよね。
これと同じで、ブレスエアー®は東洋紡が開発した素材のブランド名。一方の「3Dエアー」は、網目状に絡み合った構造の素材を広く指す一般的な呼び名にすぎません。

言いかえれば、ブレスエアー®もまた「3Dエアー」の一つ。数ある網状素材の中の、特定のブランドという位置づけです。
「3Dエアー」と呼ばれる製品は数多くありますが、ものによって使われている原料も、つくっているメーカーもバラバラ。
共通の品質基準があるわけではないので、中身は高品質なものからかなり心もとないものまで、文字どおりピンからキリまで存在しています。名前の印象だけで判断するのは、実はけっこう危ういのです。

だからこそ見てほしいのが、キャッチコピーではなく「客観的なデータ」です。
「高耐久」「進化した」と書かれていても、その根拠になる外部機関の試験データ(JIS規格など)が公開されているかどうか。第三者のテストをきちんと通っていることは、品質を裏づける確かな材料になります。
参考までに、新幹線の座席にも採用されているブレスエアー®の公式試験データはこちらで確認できます。
※ページ内の「D1クラス」は、JIS規格の8万回繰り返し圧縮テストを最高レベルでクリアしたことを示す最上位ランクです。
ブレスエアー®は、数ある3Dエアーの中の「優等生」
網状構造の素材(=3Dエアー)はたくさんありますが、その中でも厳しい基準をクリアしているのがブレスエアー®です。
ブレスエアー®を名乗るには、東洋紡が定めた基準を満たさなければなりません。その代表が、先ほど触れたJIS規格の「8万回繰り返し圧縮テスト」。

中材がどれだけヘタらずに元へ戻るかを調べる、なかなか手厳しいテストです。これを高い復元率でクリアできたものだけが、製品として世に出ています。
もっとも、半年後に後悔しないために見ておきたいのは、ブランド名だけではありません。次の二つの数字は、どんなファイバーマットレスでも確かめる価値があります。
中材の厚みは5cm以上あるか
大人が横向きに寝ると、肩や腰は3〜5cmほど沈み込みます。

カバーのキルティング(綿)は体重であっさり潰れてしまうので、底付き感を防いで体を支えられるかどうかは、カバーを含めた全体の厚みではなく「中材そのものの厚み」で決まります。ここが5cm(50mm)以上あるかを見てください。
軽すぎないか(=密度が足りているか)
軽さは持ち運びのラクさにつながる長所ですが、中の繊維がスカスカだと、厚みがあっても体重を支えきれずにすぐヘタります。繊維がどれだけ詰まっているかは、そのまま重さに表れます。

ブレスエアー®の場合、厚み5cmのシングルで中材が3.5kg以上あれば、密度が高く丈夫だと判断する一つの目安になります。
樹脂によって重さは変わるので、他の3Dエアーに「何kg以上なら安心」と一律には言えません。ただ、極端に軽いものや、そもそも重さが書かれていないものは、密度が低くヘタりやすいサインなので注意してください 。
「静かさ」の正体は、樹脂の種類による特性の違い

3Dエアー製品を調べていると、「寝返りの音が静か」とうたっているものに出会います。睡眠を考えると、音が静かなのは確かにうれしいポイントですが、この違いは性能の優劣ではなく、中材に使われている樹脂(プラスチック)の種類から来ています。
代表的な二つを知っておくと、選ぶときに迷いにくくなります。
ポリエチレン(一部の3Dエアーなど)
静かなタイプの多くはポリエチレンを使っています。やわらかく音が出にくい反面、安価なものは熱に弱いのが弱点です。冬に電気毛布や布団乾燥機を使うと、その熱でヘタってしまうことがあります。
エラストマー(ブレスエアー®など)
ブレスエアー®に使われているのは、ゴムのような強い弾力を持つエラストマーという特殊な樹脂です。とても丈夫で熱にも強いため、電気毛布や布団乾燥機も安心して使えます。
ただし、バネのような繊維がぎっしり詰まっている分、擦れると「シャカシャカ」と音が鳴りやすいという面もあります。
整理すると、こういう違いです。
| ポリエチレン (一部の3Dエアー等) | エラストマー (ブレスエアー®など) | |
| メリット | 音が静か | ヘタりにくい/熱に強く、 電気毛布・布団乾燥機が使える※ |
| デメリット | 熱に弱く、電気毛布でヘタるリスクあり | 擦れると音がする |
| こんな方に | 静かさを最優先したい方 | 良いものを長く使いたい方 |
※素材自体は熱に強いですが、マットレス製品として長くお使いいただくため「40℃を超える高温モード」での使用は、当店では非推奨としています。
音を抑えるためにポリエチレンを選んでいる製品もありますが、これは「進化」というより、静かさを取るか、耐久性・耐熱性を取るかという方向性の違いです。長く快適に使いたいなら、私たちはやはり耐久性のある素材をおすすめしています。

音については、当店に届くお客様の声でも「たしかに鳴るけれど、数日で気にならなくなった」という方がほとんどです。感じ方には個人差がありますが、多くの方が音そのものより、ヘタりにくさのメリットを実感されています。
それでも気になる場合は、お試し期間や返品保証のあるお店を選んでおくと安心です。
関連記事:ブレスエアー®の音って、どんな音? 気になる音の不安を解消>>
まとめ:イメージではなく、数字と素材で選ぶ
「3Dエアー」と「ブレスエアー®」の違いを見てきました。毎日体を預けるものだからこそ、新しそうな名前や魅力的なコピーに引っ張られず、その中身を落ち着いて見極めることが何より大切です。
最後に、後悔しないための三つの視点をまとめておきます。
・名前だけで判断しないこと
3Dエアーは特定の高性能素材ではなく、あくまで網状素材の総称です。共通の品質基準がない以上、製品ごとにスペックを確かめる必要があります。
・厚みと重さ(密度)を確かめること
3Dエアーは特定の高性能素材ではなく、あくまで網状素材の総称です。共通の品質基準がない以上、製品ごとにスペックを確かめる必要があります。
・樹脂の性質を知って選ぶこと
静かさを優先するならポリエチレン、冬に電気毛布を使いたい方や圧倒的なヘタりにくさを求めるならエラストマー(ブレスエアー®)。自分の暮らし方に合うほうを選べば、失敗しにくくなります。
マットレスは、毎晩の眠りをそっと支えてくれる相棒のような存在です。半年、一年と経ったときに「これにしてよかった」と思えるよう、ぜひ今回のポイントをマットレス選びにお役立てください。