新幹線は、なぜ長時間座っていても快適なのか?

~~the LONG DRIVEが誕生した背景に迫ります~~

当店のカーシートは、「乗り心地があまり良くない車で、長時間の運転を強いられるドライバー向け」に開発しました。 なので、商品名も”the LONG DRIVE”。「長距離・長時間運転」です。

ではなぜ、長距離・長時間運転手向けなのか? そして、なぜ乗り心地の良くない車向けなのか? そのヒントは、この写真にあります。

左はドライバーの憧れ、メルセデスベンツ。そして右は、世界に誇る日本の最新型新幹線N700。これらと当店の長時間・長距離用ドライバーズシートの相関関係は?

順を追って説明していきたいと思います。

まず、ベンツとN700新幹線の共通点は? 
①時速250kmで長時間走っても、快適な乗り心地 
②その快適性の陰に、繊維系バネ部材の存在あり。

乗物に長時間乗車した際、疲労が蓄積する大きな原因のひとつが路面やエンジンからの衝撃や振動。 振動がほとんどない高級車レクサスでのドライブと、高速で走行時に車がガタガタしている軽自動車での疲労度を考えれば、振動が体に与える影響をイメージすることが出来ると思います。

しかし、どんな高級車であろうとも、そしてドイツの高速道路(アウトバーン)のように路面がどんなに綺麗に整備されていても、時速250kmで走れば別問題。超高速回転のエンジン、そして路面から上がる振動や衝撃は、凄まじいモノがあります。

250kmの高速走行時に振動や衝撃を吸収し、座面を安定させるのが、ベンツの場合はヤシの実繊維です。無数の繊維が不規則に絡み合っているヤシの実繊維。座面の下からの強い振動や衝撃もほどよく分散するので、運転手への負担は大きく軽減されます。

一方、JR東海の威信にかけて開発された最新型新幹線N700。時速300kmの超高速走行と最高級の乗り心地という、相反する2つの目標を両立するため、お手本としてベンツのシート研究を徹底的にしたようです。

そして白羽の矢が立ったのが、東洋紡ブレスエアー®。
JR東海がどうしてN700にヤシの実繊維を採用しなかったのは、定かではありません。一方、分かっていることは、ヤシ繊維と同等効果が期待でき、かつ供給が安定している化学繊維を探していたこと。(現在のベンツ座席には、ヤシ繊維は使用されていません。)

ベンツを運転したことのある方はご存じだと思いますが、ベンツの乗り心地は意外なほど硬めです。
「座り心地のよい座席=お尻を優しく包み込む、低反発のような柔らかい座席」と一見考えてしまいますが、実は柔らかい座席は、長時間座っていると疲れます。
そして、ベンツの硬くて安定した乗り心地に、ヤシ繊維が少なからず貢献しています。
新型新幹線N700では、同じ役割をブレスエアー®が座席用中芯材として担っています。(JR東海では、ブレスエアーを「樹脂バネ」と呼んでいます。)

N700の座席は、他の新幹線座席と比べ、確かに硬い。
実は、東京―新大阪間の2時間半乗車したお客さまが一番快適になるよう、N700の座席は設計したと言われています。
(2016年現在、日本で生産される新型鉄道用座席は、東洋紡ブレスエアー®と固綿の複合中芯が主流です。)

この発想にヒントを得て、当店で乗り物用クッション材の開発を始めました。まず、ブレスエアー®素材が他のカーシートに対して大きく優れている点は、以下2点。

1. N700での実績通り、他のクッション材では実現できない、抜群のバネ特性
2. 長時間座っていてもお尻が蒸れない高通気性

では、ブレスエアー®を使用したカーシートの高機能性能を、十二分に満喫してもらえるユーザーは誰か?
ベンツのオーナーさんは、ベンツの座席自体が高機能仕様になっていますし、座席に様々な調整機能も付いているので、あまり必要としていないでしょう。 また、近所での足として車を使うドライバーにも宝の持ち腐れでしょう。

そうです!the LONG DRIVEは、ファミリーカーや商用車のように5万キロ以上走っている車で、依然長距離・長時間運転を強いられるドライバーを想定して開発しました。

仕様を決めるため、当店に出入りしている宅配便ドライバー、知り合いのトラック&タクシー運転手、営業で終日車を運転している営業マン等、長距離・長時間車の運転を強いられる方たちに、お困り事を細かく尋ねました。色々ありましたが、皆に共通していた大きなお困り事は以下3点。

  1. 疲れてきたときに感じる、路面からの衝撃。(一日の終わりには、ちょっとした衝撃も敏感に感じるようです)
  2. 長時間運転すると感じる、ひざ裏から太ももにかけての、不快な蒸れ。 (特に夏場はヒドイようで、エアコンを点けていても感じるようです)
  3. 腰に蓄積する疲労感。(腰痛は、長距離ドライバーの職業病のようです。)